CVT車のアクセル操作はどうするのがいいのか

ぼくは今、スバルの XV 1.6i-L (2017)という車に乗っている。この車のトランスミッションはリニアトロニックと名が付けられているが一般にいう CVT である。

リニアトロニック篇 : 開発ストーリー | SUBARUのクルマづくり | SUBARU

以前乗っていた日産マーチ K12 のトランスミッションは 4速AT だった。

従来AT は MT の延長であり、ギヤの存在を意識する。それぞれのギヤが得意な速度域があり、従来AT はそのギヤチェンジを自動で処理してくれるところが特徴であり、シフトノブやクラッチペダルの操作がなくなるという大幅な操作の変更をもたらした。

従来AT と MT では操作体系がそもそも違う、だがギヤチェンジにより得られる挙動の変化は変わらない。操作は楽になったが結果得られる挙動は変わらない。だからギヤの変速を意識してアクセルを操作すれば良かった。

いま普及価格帯の多くの車で採用されているトランスミッションCVT である。操作方法は従来AT と何ら変わりない。基本的な操作方法が何ら変わりないので従来 AT の気持ちで操作をしてしまう。それがイカンのだ。

従来AT と CVT は操作方法は同じだけれどもトランスミッションの機構が違う。従来AT のようなギヤの存在を前提としたアクセル操作をしてはイカンのだ。CVT には 1速~2速~3速~4速~といったギヤは無い。

アクセルをオリャー!と一気に踏み込んでもグンッと加速するわけじゃない。CVT が得意とする力を引き出すアクセル操作がある。

例えば発進時。ブレーキを離してクリープでちょっと前に出るまで(その間1~2秒)アクセルを踏むのはガマンする。クリープで前に進み出したらゆっくりとアクセルを踏み込み始める。排気量によって違うけど通常回転数より上がりすぎないように。そうすると数秒で欲しい速度まで加速してくれる。

例えば定速走行時。ちょいちょいアクセルを離す。エンブレがかかる寸前にまたほんの少し踏み定速を維持する。

例えば高速道路。ACC機構にまかせる。人間のアクセルワークより数倍賢い。

メーカー各社は、自社の技術がどれだけすごいか、新しい機構を搭載したか、そういうことを広報したがります。ですが車のユーザーはその車で日常を過ごすのです。

日常を過ごすにあたってその車でイチバン燃費に効くアクセルワークはどんななのか、キビキビ動かすのに有効なアクセルワークはどんななのか、メーカー各社の技術者が精魂込めて開発した機構の性能を一番ひきだす操作方法は具体的にどんなやり方なのか、それを教えて欲しいです。

トランスミッションに合わない操作をして「このトランスミッションはダメだ」みたいな意見を言う人がいますが、正しい操作方法が提示されていないので皆が手探りなのではないかと思うわけです。

説明書を読むと、操作のダメな例は列挙してあります。急制動はダメ、ブレーキ踏みっぱなしはダメ、レッドゾーンまで回すな…等々。それはわかった。せっかくだからメーカーがオススメするベストプラクティスも載せて欲しいところである。どう操作しようが無茶しない限り自由だがこの製品のメーカーが考える魅力を一番引き出す操作方法はこうである、というのも載せて欲しい。

せっかくアクセル開度の表示が出せるのだから、こういうシチュエーションでは何パーセントまで踏み増しするのが一番パフォーマンスが出る、みたいな情報をメーカーから出して欲しい。

とか言っておきながら実は説明書に書いてありましたーってなると恥ずかしいのでちょっと読み直してみた。こんなことが書いてあった。XV(2017年版、303ページ)

低水温時に暖気促進や走行性を良くするため、変速タイミングを通常時より高回転側にしています(暖気が進むと、自動的に通常の変速タイミングに戻ります)。 急な上り坂の連続運転など、継続的に負荷のかかる走行を行った場合、車両の冷却性能を維持するためにエンジン回転数または車速が自動的に低下することがあります。負荷が低下し、冷却性能を維持できる状態に戻るとエンジン回転数または車速は元に戻ります。

たしかに始動時はエンジンが高回転でうるさい。回転数が落ち着くまで少しかかる。短距離走行が多いと燃費が悪いのは高回転を多用してしまうからだな。